2018年1月16日火曜日

『京都手帖』編集室より⑤ 京都手帖+と今後の展開

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第5回目の本日は、京都手帖+のこと、
これからの京都手帖のことをおはなしします。

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もっと「書き込みたい」手帳を

大:プラスをつくった経緯の話をしようか。
い:竹笹堂さんの木版画が表紙の『京都手帖』は
  かわいらしい印象のイメージでしょ。
  表紙はリバーシブルでシンプルにはできるけど
  中身は同じですしね。
  でもそうじゃない需要もあるんじゃないのかなって。
大:シンプルで、男性でも持ちやすいもの、だね。
い:ビジネスにも使えてね。

大:手帳って予定だけじゃなくて、
  仕事だったら打ち合わせした内容とかも書くもんね。
い:日記や家計簿の代わりにしてる人も多いですよね。
大:そういう「書き込みたい需要」にぴったりくる
  京都手帖がつくりたかったんだよね。

い:手帳の種類もたくさんあって、
  プラスをどのタイプにするかも悩みました。
大:バーチカルとか、レフト式とか、ブロック式とか…
い:いろいろ試作して、レフト式に落ち着きましたね。

京都手帖+(プラス)は、見開きで1週間

大:プラスは2014年からはじまったけど
  これまでに大きな変化はある?
い:フォーマットはあまり変えないようにしてますけど
  2018年で中の文字を少し大きくしました。
  編集部員の加齢により、文字が小さいと校正できない
  という現実問題もあり…(笑)
大:始めた頃は見えてたのにね…(笑)

い:それと、表紙の色は模索してますね、今も。
大:2014年は真っ赤だったもんね。



い:赤、目立つし、スタイリッシュでかわいいですよね。
  でも男性が持ちにくいという側面も…。
大:そこで2015年で黒にしたんだよね。
い:2015、2016と黒が続いて、でも飽きてきた。
大:「黒ばっかりでつまらない」っていう
  女性の意見もけっこうあったよね。
い:そうなんですよね。
  そこで、2017年は定番の黒に加えて、
  DM限定で白をつくったんです。

限定で白、つくりました

大:毎年、愛読者カードを返信してくれた方には
  発売前に案内(DM)を送ってるんだよね。
  そこでの限定だから、もちろん書店には並ばない。
い:白だし汚れが気になるところではあったんですが
  試作品が予想以上にかわいかった!
  女性には絶対うけると思ったんです。
大:「限定」ってコトバの力もあるとは思うけど
  「選べる」ってのが女性にはよかったんだと思うな。

大:2018年は、定番の黒、DM限定の白に加えて
  白に枝垂桜の柄が入ったものも発売したね。
い:これもかわいくてねぇ…(うっとり)
大:枝垂桜は書店でも販売してるよね。
  好評だといいんだけどなぁ。

白地にピンクがかわいい、2018年の京都手帖+


そしてまた、新しい『京都手帖』

大:プラスはプラスで、ニーズがあるね、毎年好評で。
い:いろんなパターンの『京都手帖』があってもいいんだ
  と思えたのは、わたしたちにとっても大きかったですね。
大:それから数年経って、今また新しい『京都手帖』が
  うまれようとしてるね。
い:ついに、ちいさくなった『京都手帖』ですね。
大:その名も『京都手帖 petit(プチ)』。
  そして四月はじまりだね。
い:これまでの京都手帖とはまた、違う雰囲気ですよね。
大:イガコがつくってないしね(笑)
い:そう、シエスタがつくってる。
  やっぱり自分がつくると、自分の世代を意識するよね。
  プチも若い女性向けって感じがするね。
大:かわいらしい雰囲気だよね。

シエスタと京都手帖プチ

大:こんなにじっくり『京都手帖』について語ること
  今までなかったね~。
い:ほんとですね。改めていろいろ考えちゃいました。
  これからやりたいことも少しクリアになったような。
大:年明けからまた編集始めるんでしょ。
い:ほんとはもう始めてなきゃいけないんだけど(笑)
  とにかくこれからもがんばります。



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長々と全5回でお送りいたしました
『京都手帖』制作現場からのおはなし。
いかがでしたでしょうか。
機会がありましたらまた、座談会スタイル、やってみます。
お読みいただきありがとうございました!



2018年1月12日金曜日

『京都手帖』編集室より④ 進化しつづける京都手帖

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第4回目の本日は、進化し続けるということをおはなしします。

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できること、できないこと

い:中に挟んである「愛読者カード」っていうハガキ、
  この返信率が『京都手帖』の場合、すごく高くて。
大:ウチの本にはほとんど挟んであるのにね(笑)
い:ふつうはこんなに返ってこないですもんね(笑)

『京都手帖2018』の愛読者カード
発売されてすぐですが、たくさんご返信いただきます。

い:みなさん熱心にご意見書いてくれはるから本当に嬉しい。
大:このハガキから改善点のヒントをもらってるよね。
い:千通以上のハガキ、ひとつひとつ目を通しますからね。
  ひとりだけの意見でも「ああたしかに」って思えば
  そしてそれができる範囲のことならば取り入れます。
大:それによって2009年ではペンホルダーがついたし
  これまで京都市内に限っていた行事を、
  宇治や近隣で開催するものまで拡充したね。
い:それからもビニールカバーに内ポケットつくったり
  メモページを増やしたり、切り取りメモも。
大:切り取りメモ、白紙だから気づいてもらえなかったり(笑)
い:今でも気づいてもらえてないかも(笑)

ひっそりある、切り取りメモ

大:でもその反面、要望が多くても反映しないものもあるね。
い:一番多いのが「月曜始まり」
  『京都手帖』は発売当初から月曜始まりですもんね。
  もともとなんで月曜からにしたんですか?
  世の中のカレンダーは日曜始まりが多いのに。
大:行事は土日に多かったし、
  土日を含めて京都旅行に来る人も多いだろうから
  予定の襴をまとめておきたかったんだよね。
  自分が使うならそのほうが便利だと思ったし。
い:当初、京都に住む人がターゲットだったんですかね?
大:そういうわけじゃないけど
  京都に住んでいる人に「こんなん使えへんわ」と
  思われるものはつくりたくなかった。
い:京都人に認められれば
  自然とほかの地方へは広がっていきますよね。


うれしいことと、責任感

大:「本当はこうしたいのに」って思っていることはある?
い:ありますよ。個人的にもメモページはもっと欲しい。
大:でもこれ以上ページ数増やせないでしょ。
い:そうなんです。重たくなるし。重い手帳は持ちたくない(笑)
大:愛読者カードにもよくあるよね。
  「軽くしてください」「小さくしてください」って。
い:そうしたいのはやまやまなんですけど、
  肝心の京都の情報量を削ることになってしまう。
  そうすると『京都手帖』としての意味がなくなると思うんです。


大:分冊にしようという案もあったね。
い:価格が折り合わなくてね…。
大:それに、分冊にしてもたいして意味ないか、と思ったんだよね。
い:分けるとしたら、「月間カレンダー」と「週間カレンダー」でしょ。
  でも、月間だけしかいらない人は
  そもそも『京都手帖』じゃなくていいですしね(笑)
大:タクシーの運転手さんが使ってくれてはるよね。
い:それとホテルの従業員の方も。
  観光に従事している方が使ってくれはるのは本当にうれしい。

い:でも、だからこそ、間違ったことは書けない。
  それもあって校正には念を入れますね。
  社寺に行事予定を確認するのは6月なんですけど
  それ以降に社寺の都合によって変更になることもあります。
  『京都手帖』の情報に合わせて旅行に来て下さった方や
  案内をしてくださった方に申し訳ない気持ちになりますね。
大:申請の作業も大変でしょ?
い:2018年で、掲載社寺は約350軒。
  そのひとつひとつに行事日程、拝観時間や料金の確認をします。
大:年々増えていってるもんね。
い:でも、わたしはこの申請作業、そんなに苦じゃないんです。
  社寺1軒1軒に書類をつくって、封入するんですけど
  「今年もこの季節がきましたよ」
  「みなさんおかわりないですか」
  「今年もよろしくお願いしますね」
  とか、心の中で話しかけながらやってます。
  気持ち悪いでしょ(笑)


目指すのは自分が使いやすい手帳

大:これまで通して、ハード面の大きな変化は
  やっぱり外ポケットがついたことかな?
い:2013年のバージョンアップでしたよね。
  これは本当に好評でしたね。


ポストカードや拝観チケットも入ります

大:大きいものもバサッと入れられて便利だよね。
  あと、なんといっても「手帳製本」。
  ノドまでがっと開くよね。
い:真ん中のページだろうが、端っこだろうが、
  パッと開いたページが閉じてこないんですよね。
  これって革命ですよね。
大:書き込みやすいわー、これ。


はしっこのページでも、閉じてこない!

大:巻末のこの社寺の情報は本当に便利。
  仕事でお寺に行くときも
  何時まで開いているとか、電話番号とかすぐにわかるし。
い:社寺の名前にルビふってるのも便利でしょ。
  わたし、京都手帖の一番の推しは
  ずっとこのルビだと思ってるんです。


とにかくルビ推し

大:読めない社寺名多いもんね。
い:読み間違えたまま覚えても失礼ですしね。
  にごる、にごらない、とか。
  自分のためにもこれは絶対にはずせない。
大:自分が欲しいものをバージョンアップしているような(笑)
い:いや、本当にそうですよね。
  自分が持ちたいものを作りたいですもん。
  これ、特権ですよね(笑)

い:社寺データに四角の枠があるんですけど
  これはチェックボックスの意味も兼ねてるんです。
大:なるほど。知らなかった(笑)
い:それで、こないだ、自分がどれくらい参拝しているのか
  チェックしてみようと思って。
大:ほとんどの社寺にチェックついたんじゃない?
い:それが3分の1くらいで…
  こんな仕事をしてるのにこれじゃあかんわと思い
  来年はいろいろと行ってみるつもりです。
  御朱印ももっと集めたいなぁ。

大:ほかにバージョンアップさせたいところは?
い:社寺データに駐車場の有無を入れたいですね。
  これ、なかなか難しいんですよね…
大:お寺によっては「紅葉シーズンは駐車禁止」っていう
  ところもけっこうあるしね。
い:だったら駐車可能台数まで書くのか…とか
  線引きが難しいですよね。
大:自分では欲しい情報だけどね(笑)
い:愛読者カードにも多いんですが
  ハード面だったらインデックスをつくりたいですね。
  開きやすくなりますし。
大:でも制作費がね…
い:そうなんです。完全に予算オーバーでしたね…



本日はここまで。
次回はいよいよ最終回!
『京都手帖+』やこれからの『京都手帖』のことを。

第1回 京都手帖がうまれたとき
第2回 竹笹堂さんと作っていく
第3回 わたし失敗いたしました
第4回 進化しつづける京都手帖(←いまココ)
第5回 京都手帖+と今後の展開


2018年1月9日火曜日

『京都手帖』編集室より③ わたし失敗いたしました

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第3回目の本日は、背筋も凍る失敗談…と、コラムのお話を。

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血の気がひく、を体感する

い:せんぱいが担当した『京都手帖』は
  コラムの文字数が多いんですよ。
  そして文化的な香りがする(笑)

左:2010年桜コラム(せんぱい担当)
右:2011年桜コラム(イガコ担当) 
同じ桜コラムでも文字数が…

大:そうなの?ぜんぜん気づいてなかった(笑)
  2010年のとき、帯に誤植があってねー…。
い:「こんな感じでできたよー」って
  育休中のわたしに写メ送ってくれはったんですよね。
大:そうそう。それでイガコに
  「月間カレンダー」の「月間」が「月刊」になってますよ
  って返信もらって…。
い:印刷したあとだったもんね…(怖)
大:そのまま出すわけにいかず、刷り直し…(怖)

い:でも店頭に並ぶ前でよかったですよ…わたしなんて…。
大:2008年の話?
い:そう…月間カレンダーの年号、2008って書くところを
  一か所2007ってなってて…。
大:その年、わたし育休中だったから知らんのやけど
  発売後にわかったんだよね?
い:書店さんから電話がかかってきて
  「ここ、2007になってますよ」って。
大:…ぞっとするね。

「10」の下、訂正シール貼ってます…

い:訂正のシールをつくってね、こんな小さいところでしょ?
  貼るのも難しくて…。
  社員総出で、社内在庫はもちろん、書店店頭でも貼りました…。
  いま思い出しても本当におそろしい!
  みなさんにも申し訳なくて…つらかったなぁ。
大:この頃はまだスケジュール帳をつくる怖さが
  わかってなかったんだね。
い:玉(カレンダーの日付部分)を間違えるとダメージがでかいって
  勉強しましたね…。
大:そこからはできるだけ多くの人で、チェックするようになったね。


校正に命をかける

い:毎年9月末に発売するには、
  お盆くらいに校了しなきゃいけなくて。
大:製本に時間がかかるからね。
い:忌まわしの2008年の失敗から、
  校了になるまでは毎回ふらふらになるまで校正しますね。
  最後の最後まで確認して、間違いがないと自分で納得できるまで
  やらなきゃ気が済まないんです。
大:本文の校正は編集部全員(4人)でやるよね。
い:毎回お世話かけます。

何度も校正します(これはほんの一部)

大:この時期ばかりは、それぞれの仕事が忙しかろうが
  優先して校正するね。
い:旧暦や月の満ち欠けもあるから
  チェックする項目が多いんですよね。
大:4人でみても、ひとりだけ気付くっていうパターンもある(笑)
い:あのときの「してやったり感」すごいよね(笑)
大:見つけられなかったら悔しいもんね。
い:正解のない間違いさがしゲームですからね。
  しかも間違えられないやつ(笑)


大:コラムも毎年いろいろ考えてるね。
  ウチの仕事は取材ものがほとんどないから
  ノウハウがわからなくて最初は大変だったんじゃない?
い:今でも大変ですよ!すっごく緊張する。




い:2011年の話なんですけどね…
  毎月お菓子を買って、撮影して、試食して…。
  で、いざ原稿を書く5月頃になって気づいたんです。
  「あ!わたし、お菓子食べても感想をメモしてない!」って(笑)
大:季節限定のものばっかりだったら買い直せないしね…(笑)
い:ほかにも失敗があって。
大:まだあるの?(笑)
い:取材に行き始めた頃、ある雑貨屋さんに入って
  その場で撮影のアポ取って、自分の手帳に書き込んだんです。
  当日、その時間に行くと
  「約束の時間と違うから無理です」って断られて…
  それ以来、取材のアポ取りは電話や口約束だけじゃなく
  あとで必ずファックスやメールを送るようにしました。
  ライターさんには基本的なことかもしれないんですけど
  それすらわかっていませんでしたからね。


コラム制作時は、エンゲル係数高め

い:コラムは、大変ですけど楽しんでやってますよ。
大:お菓子とか、ランチは実際食べに行ってるんだもんね?
い:行ってますよ、自腹で(笑)
大:自腹っていうと、驚かれること多くない?
い:よく友達にもびっくりされます。

大:カメラマンのたやさん(京都手帖担当)が
  いつも褒めてくれるよね。
  「自腹で食べるから公正な判断ができるんだ、エライ」って。
い:だから、懐石料理のコラムはこの先も絶対ない(笑)
大:有名だろうが、名物だろうが、
  イガコがおいしくないって思ったら掲載しないんでしょ?
い:そうですね。でもその逆もあって。
  あれだけ有名だけどやっぱ最高!ってものも載せますよ。
大:自腹だし目も厳しくなるよね。
い:しかもダイエットできない(笑)

大:実際、自腹で食べに行ってるときに
  味以外にお店の雰囲気みたりするんでしょ?
い:そうですね。おいしくても緊張するお店はやめときます。
  あくまで主観にはなりますけど、
  居心地の良さも大切にしたいですからね。
大:コラムのネタ探しも苦労してるよね。
い:最初のうちは、桜や紅葉のコラムでも
  いくらでもバリエーションがあったんですけどね~…
大:もう、発売から12年経ったもんね。
い:だから、好評だったコラムは「使いまわし感」が出ないように
  掲載店や切り口を変えて、
  またやってみようかなと思ってるとこです。


大:『京都手帖2018』で好評だったのはどんなコラム?
い:愛読者カードの反応では「ご朱印」ですね。
  それと「写経・写仏」。
大:みんな社寺ネタは好きなんやね。
い:わたしの周りでは「カレー」も人気ですよ。
大:今年はめっちゃカレー食べに行ってたよね~。
い:これ以外にもおいしいところたくさんあったんで困りました!

左:写経・写仏コラム
右:カレーコラム  

い:「今月のお菓子」は続けてほしいってご意見をよくいただきます
大:季節感も出るしね
い:最初にあのコラムをしたのは2011年でした
  その年は、本当に季節限定のお菓子ばかりを集めてて。
大:いまは、通年買えるものでも、
  この時期におすすめのものっていう感覚かな
い:ですね。通年食べられるおいしいものもたくさんありますからね。



本日はここまで。
次回は、進化する『京都手帖』のおはなししたいと思います。