2018年1月16日火曜日

『京都手帖』編集室より⑤ 京都手帖+と今後の展開

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第5回目の本日は、京都手帖+のこと、
これからの京都手帖のことをおはなしします。

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もっと「書き込みたい」手帳を

大:プラスをつくった経緯の話をしようか。
い:竹笹堂さんの木版画が表紙の『京都手帖』は
  かわいらしい印象のイメージでしょ。
  表紙はリバーシブルでシンプルにはできるけど
  中身は同じですしね。
  でもそうじゃない需要もあるんじゃないのかなって。
大:シンプルで、男性でも持ちやすいもの、だね。
い:ビジネスにも使えてね。

大:手帳って予定だけじゃなくて、
  仕事だったら打ち合わせした内容とかも書くもんね。
い:日記や家計簿の代わりにしてる人も多いですよね。
大:そういう「書き込みたい需要」にぴったりくる
  京都手帖がつくりたかったんだよね。

い:手帳の種類もたくさんあって、
  プラスをどのタイプにするかも悩みました。
大:バーチカルとか、レフト式とか、ブロック式とか…
い:いろいろ試作して、レフト式に落ち着きましたね。

京都手帖+(プラス)は、見開きで1週間

大:プラスは2014年からはじまったけど
  これまでに大きな変化はある?
い:フォーマットはあまり変えないようにしてますけど
  2018年で中の文字を少し大きくしました。
  編集部員の加齢により、文字が小さいと校正できない
  という現実問題もあり…(笑)
大:始めた頃は見えてたのにね…(笑)

い:それと、表紙の色は模索してますね、今も。
大:2014年は真っ赤だったもんね。



い:赤、目立つし、スタイリッシュでかわいいですよね。
  でも男性が持ちにくいという側面も…。
大:そこで2015年で黒にしたんだよね。
い:2015、2016と黒が続いて、でも飽きてきた。
大:「黒ばっかりでつまらない」っていう
  女性の意見もけっこうあったよね。
い:そうなんですよね。
  そこで、2017年は定番の黒に加えて、
  DM限定で白をつくったんです。

限定で白、つくりました

大:毎年、愛読者カードを返信してくれた方には
  発売前に案内(DM)を送ってるんだよね。
  そこでの限定だから、もちろん書店には並ばない。
い:白だし汚れが気になるところではあったんですが
  試作品が予想以上にかわいかった!
  女性には絶対うけると思ったんです。
大:「限定」ってコトバの力もあるとは思うけど
  「選べる」ってのが女性にはよかったんだと思うな。

大:2018年は、定番の黒、DM限定の白に加えて
  白に枝垂桜の柄が入ったものも発売したね。
い:これもかわいくてねぇ…(うっとり)
大:枝垂桜は書店でも販売してるよね。
  好評だといいんだけどなぁ。

白地にピンクがかわいい、2018年の京都手帖+


そしてまた、新しい『京都手帖』

大:プラスはプラスで、ニーズがあるね、毎年好評で。
い:いろんなパターンの『京都手帖』があってもいいんだ
  と思えたのは、わたしたちにとっても大きかったですね。
大:それから数年経って、今また新しい『京都手帖』が
  うまれようとしてるね。
い:ついに、ちいさくなった『京都手帖』ですね。
大:その名も『京都手帖 petit(プチ)』。
  そして四月はじまりだね。
い:これまでの京都手帖とはまた、違う雰囲気ですよね。
大:イガコがつくってないしね(笑)
い:そう、シエスタがつくってる。
  やっぱり自分がつくると、自分の世代を意識するよね。
  プチも若い女性向けって感じがするね。
大:かわいらしい雰囲気だよね。

シエスタと京都手帖プチ

大:こんなにじっくり『京都手帖』について語ること
  今までなかったね~。
い:ほんとですね。改めていろいろ考えちゃいました。
  これからやりたいことも少しクリアになったような。
大:年明けからまた編集始めるんでしょ。
い:ほんとはもう始めてなきゃいけないんだけど(笑)
  とにかくこれからもがんばります。



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長々と全5回でお送りいたしました
『京都手帖』制作現場からのおはなし。
いかがでしたでしょうか。
機会がありましたらまた、座談会スタイル、やってみます。
お読みいただきありがとうございました!



2018年1月12日金曜日

『京都手帖』編集室より④ 進化しつづける京都手帖

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第4回目の本日は、進化し続けるということをおはなしします。

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できること、できないこと

い:中に挟んである「愛読者カード」っていうハガキ、
  この返信率が『京都手帖』の場合、すごく高くて。
大:ウチの本にはほとんど挟んであるのにね(笑)
い:ふつうはこんなに返ってこないですもんね(笑)

『京都手帖2018』の愛読者カード
発売されてすぐですが、たくさんご返信いただきます。

い:みなさん熱心にご意見書いてくれはるから本当に嬉しい。
大:このハガキから改善点のヒントをもらってるよね。
い:千通以上のハガキ、ひとつひとつ目を通しますからね。
  ひとりだけの意見でも「ああたしかに」って思えば
  そしてそれができる範囲のことならば取り入れます。
大:それによって2009年ではペンホルダーがついたし
  これまで京都市内に限っていた行事を、
  宇治や近隣で開催するものまで拡充したね。
い:それからもビニールカバーに内ポケットつくったり
  メモページを増やしたり、切り取りメモも。
大:切り取りメモ、白紙だから気づいてもらえなかったり(笑)
い:今でも気づいてもらえてないかも(笑)

ひっそりある、切り取りメモ

大:でもその反面、要望が多くても反映しないものもあるね。
い:一番多いのが「月曜始まり」
  『京都手帖』は発売当初から月曜始まりですもんね。
  もともとなんで月曜からにしたんですか?
  世の中のカレンダーは日曜始まりが多いのに。
大:行事は土日に多かったし、
  土日を含めて京都旅行に来る人も多いだろうから
  予定の襴をまとめておきたかったんだよね。
  自分が使うならそのほうが便利だと思ったし。
い:当初、京都に住む人がターゲットだったんですかね?
大:そういうわけじゃないけど
  京都に住んでいる人に「こんなん使えへんわ」と
  思われるものはつくりたくなかった。
い:京都人に認められれば
  自然とほかの地方へは広がっていきますよね。


うれしいことと、責任感

大:「本当はこうしたいのに」って思っていることはある?
い:ありますよ。個人的にもメモページはもっと欲しい。
大:でもこれ以上ページ数増やせないでしょ。
い:そうなんです。重たくなるし。重い手帳は持ちたくない(笑)
大:愛読者カードにもよくあるよね。
  「軽くしてください」「小さくしてください」って。
い:そうしたいのはやまやまなんですけど、
  肝心の京都の情報量を削ることになってしまう。
  そうすると『京都手帖』としての意味がなくなると思うんです。


大:分冊にしようという案もあったね。
い:価格が折り合わなくてね…。
大:それに、分冊にしてもたいして意味ないか、と思ったんだよね。
い:分けるとしたら、「月間カレンダー」と「週間カレンダー」でしょ。
  でも、月間だけしかいらない人は
  そもそも『京都手帖』じゃなくていいですしね(笑)
大:タクシーの運転手さんが使ってくれてはるよね。
い:それとホテルの従業員の方も。
  観光に従事している方が使ってくれはるのは本当にうれしい。

い:でも、だからこそ、間違ったことは書けない。
  それもあって校正には念を入れますね。
  社寺に行事予定を確認するのは6月なんですけど
  それ以降に社寺の都合によって変更になることもあります。
  『京都手帖』の情報に合わせて旅行に来て下さった方や
  案内をしてくださった方に申し訳ない気持ちになりますね。
大:申請の作業も大変でしょ?
い:2018年で、掲載社寺は約350軒。
  そのひとつひとつに行事日程、拝観時間や料金の確認をします。
大:年々増えていってるもんね。
い:でも、わたしはこの申請作業、そんなに苦じゃないんです。
  社寺1軒1軒に書類をつくって、封入するんですけど
  「今年もこの季節がきましたよ」
  「みなさんおかわりないですか」
  「今年もよろしくお願いしますね」
  とか、心の中で話しかけながらやってます。
  気持ち悪いでしょ(笑)


目指すのは自分が使いやすい手帳

大:これまで通して、ハード面の大きな変化は
  やっぱり外ポケットがついたことかな?
い:2013年のバージョンアップでしたよね。
  これは本当に好評でしたね。


ポストカードや拝観チケットも入ります

大:大きいものもバサッと入れられて便利だよね。
  あと、なんといっても「手帳製本」。
  ノドまでがっと開くよね。
い:真ん中のページだろうが、端っこだろうが、
  パッと開いたページが閉じてこないんですよね。
  これって革命ですよね。
大:書き込みやすいわー、これ。


はしっこのページでも、閉じてこない!

大:巻末のこの社寺の情報は本当に便利。
  仕事でお寺に行くときも
  何時まで開いているとか、電話番号とかすぐにわかるし。
い:社寺の名前にルビふってるのも便利でしょ。
  わたし、京都手帖の一番の推しは
  ずっとこのルビだと思ってるんです。


とにかくルビ推し

大:読めない社寺名多いもんね。
い:読み間違えたまま覚えても失礼ですしね。
  にごる、にごらない、とか。
  自分のためにもこれは絶対にはずせない。
大:自分が欲しいものをバージョンアップしているような(笑)
い:いや、本当にそうですよね。
  自分が持ちたいものを作りたいですもん。
  これ、特権ですよね(笑)

い:社寺データに四角の枠があるんですけど
  これはチェックボックスの意味も兼ねてるんです。
大:なるほど。知らなかった(笑)
い:それで、こないだ、自分がどれくらい参拝しているのか
  チェックしてみようと思って。
大:ほとんどの社寺にチェックついたんじゃない?
い:それが3分の1くらいで…
  こんな仕事をしてるのにこれじゃあかんわと思い
  来年はいろいろと行ってみるつもりです。
  御朱印ももっと集めたいなぁ。

大:ほかにバージョンアップさせたいところは?
い:社寺データに駐車場の有無を入れたいですね。
  これ、なかなか難しいんですよね…
大:お寺によっては「紅葉シーズンは駐車禁止」っていう
  ところもけっこうあるしね。
い:だったら駐車可能台数まで書くのか…とか
  線引きが難しいですよね。
大:自分では欲しい情報だけどね(笑)
い:愛読者カードにも多いんですが
  ハード面だったらインデックスをつくりたいですね。
  開きやすくなりますし。
大:でも制作費がね…
い:そうなんです。完全に予算オーバーでしたね…



本日はここまで。
次回はいよいよ最終回!
『京都手帖+』やこれからの『京都手帖』のことを。

第1回 京都手帖がうまれたとき
第2回 竹笹堂さんと作っていく
第3回 わたし失敗いたしました
第4回 進化しつづける京都手帖(←いまココ)
第5回 京都手帖+と今後の展開


2018年1月9日火曜日

『京都手帖』編集室より③ わたし失敗いたしました

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第3回目の本日は、背筋も凍る失敗談…と、コラムのお話を。

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血の気がひく、を体感する

い:せんぱいが担当した『京都手帖』は
  コラムの文字数が多いんですよ。
  そして文化的な香りがする(笑)

左:2010年桜コラム(せんぱい担当)
右:2011年桜コラム(イガコ担当) 
同じ桜コラムでも文字数が…

大:そうなの?ぜんぜん気づいてなかった(笑)
  2010年のとき、帯に誤植があってねー…。
い:「こんな感じでできたよー」って
  育休中のわたしに写メ送ってくれはったんですよね。
大:そうそう。それでイガコに
  「月間カレンダー」の「月間」が「月刊」になってますよ
  って返信もらって…。
い:印刷したあとだったもんね…(怖)
大:そのまま出すわけにいかず、刷り直し…(怖)

い:でも店頭に並ぶ前でよかったですよ…わたしなんて…。
大:2008年の話?
い:そう…月間カレンダーの年号、2008って書くところを
  一か所2007ってなってて…。
大:その年、わたし育休中だったから知らんのやけど
  発売後にわかったんだよね?
い:書店さんから電話がかかってきて
  「ここ、2007になってますよ」って。
大:…ぞっとするね。

「10」の下、訂正シール貼ってます…

い:訂正のシールをつくってね、こんな小さいところでしょ?
  貼るのも難しくて…。
  社員総出で、社内在庫はもちろん、書店店頭でも貼りました…。
  いま思い出しても本当におそろしい!
  みなさんにも申し訳なくて…つらかったなぁ。
大:この頃はまだスケジュール帳をつくる怖さが
  わかってなかったんだね。
い:玉(カレンダーの日付部分)を間違えるとダメージがでかいって
  勉強しましたね…。
大:そこからはできるだけ多くの人で、チェックするようになったね。


校正に命をかける

い:毎年9月末に発売するには、
  お盆くらいに校了しなきゃいけなくて。
大:製本に時間がかかるからね。
い:忌まわしの2008年の失敗から、
  校了になるまでは毎回ふらふらになるまで校正しますね。
  最後の最後まで確認して、間違いがないと自分で納得できるまで
  やらなきゃ気が済まないんです。
大:本文の校正は編集部全員(4人)でやるよね。
い:毎回お世話かけます。

何度も校正します(これはほんの一部)

大:この時期ばかりは、それぞれの仕事が忙しかろうが
  優先して校正するね。
い:旧暦や月の満ち欠けもあるから
  チェックする項目が多いんですよね。
大:4人でみても、ひとりだけ気付くっていうパターンもある(笑)
い:あのときの「してやったり感」すごいよね(笑)
大:見つけられなかったら悔しいもんね。
い:正解のない間違いさがしゲームですからね。
  しかも間違えられないやつ(笑)


大:コラムも毎年いろいろ考えてるね。
  ウチの仕事は取材ものがほとんどないから
  ノウハウがわからなくて最初は大変だったんじゃない?
い:今でも大変ですよ!すっごく緊張する。




い:2011年の話なんですけどね…
  毎月お菓子を買って、撮影して、試食して…。
  で、いざ原稿を書く5月頃になって気づいたんです。
  「あ!わたし、お菓子食べても感想をメモしてない!」って(笑)
大:季節限定のものばっかりだったら買い直せないしね…(笑)
い:ほかにも失敗があって。
大:まだあるの?(笑)
い:取材に行き始めた頃、ある雑貨屋さんに入って
  その場で撮影のアポ取って、自分の手帳に書き込んだんです。
  当日、その時間に行くと
  「約束の時間と違うから無理です」って断られて…
  それ以来、取材のアポ取りは電話や口約束だけじゃなく
  あとで必ずファックスやメールを送るようにしました。
  ライターさんには基本的なことかもしれないんですけど
  それすらわかっていませんでしたからね。


コラム制作時は、エンゲル係数高め

い:コラムは、大変ですけど楽しんでやってますよ。
大:お菓子とか、ランチは実際食べに行ってるんだもんね?
い:行ってますよ、自腹で(笑)
大:自腹っていうと、驚かれること多くない?
い:よく友達にもびっくりされます。

大:カメラマンのたやさん(京都手帖担当)が
  いつも褒めてくれるよね。
  「自腹で食べるから公正な判断ができるんだ、エライ」って。
い:だから、懐石料理のコラムはこの先も絶対ない(笑)
大:有名だろうが、名物だろうが、
  イガコがおいしくないって思ったら掲載しないんでしょ?
い:そうですね。でもその逆もあって。
  あれだけ有名だけどやっぱ最高!ってものも載せますよ。
大:自腹だし目も厳しくなるよね。
い:しかもダイエットできない(笑)

大:実際、自腹で食べに行ってるときに
  味以外にお店の雰囲気みたりするんでしょ?
い:そうですね。おいしくても緊張するお店はやめときます。
  あくまで主観にはなりますけど、
  居心地の良さも大切にしたいですからね。
大:コラムのネタ探しも苦労してるよね。
い:最初のうちは、桜や紅葉のコラムでも
  いくらでもバリエーションがあったんですけどね~…
大:もう、発売から12年経ったもんね。
い:だから、好評だったコラムは「使いまわし感」が出ないように
  掲載店や切り口を変えて、
  またやってみようかなと思ってるとこです。


大:『京都手帖2018』で好評だったのはどんなコラム?
い:愛読者カードの反応では「ご朱印」ですね。
  それと「写経・写仏」。
大:みんな社寺ネタは好きなんやね。
い:わたしの周りでは「カレー」も人気ですよ。
大:今年はめっちゃカレー食べに行ってたよね~。
い:これ以外にもおいしいところたくさんあったんで困りました!

左:写経・写仏コラム
右:カレーコラム  

い:「今月のお菓子」は続けてほしいってご意見をよくいただきます
大:季節感も出るしね
い:最初にあのコラムをしたのは2011年でした
  その年は、本当に季節限定のお菓子ばかりを集めてて。
大:いまは、通年買えるものでも、
  この時期におすすめのものっていう感覚かな
い:ですね。通年食べられるおいしいものもたくさんありますからね。



本日はここまで。
次回は、進化する『京都手帖』のおはなししたいと思います。


2017年12月28日木曜日

『京都手帖』編集室より② 竹笹堂さんと作っていく

先日からお届けしている、『京都手帖』制作のおはなし
第2回目の本日は、竹笹堂さんとの出会いを

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現状に満足していなかったからこそ

大:当初の表紙はあっさりしてたなぁ(笑)
い:「和風の手帳」であることは間違いないんだけどね(笑)

左から、2017、2018、2019
(2017年の帯は行方不明…)
大:デザイナーに何パターンかあげてもらって
  その中から選んでた。
い:表紙を決めるのは、2008年も2009年も苦労しました。
大:そこで、竹笹堂さんにお願いすることにしたんだよね。
い:2010年ね。
  今度はわたしが育児休暇中で、せんぱいが担当でしたね。
大:そう、イガコがいない間に変えてみた(笑)
い:どうして竹笹堂さんにお願いしたんですか?
  もともと知り合いでしたっけ?
大:2008年発行の『京都もみじ帖』に竹笹堂さんの雑貨を
  掲載させてもらったのがきっかけだね。
  紅葉の写真集なんだけど、ちょっと雑貨やカフェも掲載してて。
  その雑貨集めのときに、初めて竹笹堂さんに行って
  原田裕子さんって若い女性がつくっていることを知って。

『京都もみじ帖』とせんぱい

い:その頃、メディアの露出も増えてましたよね。
  わたしも初めて知ったのはテレビだった。
大:和風で懐かしいものなんだけど、それだけじゃない
  モダンな雰囲気も感じたんだよね。
  原田さんのデザインする木版画は『京都手帖』に
  ぴったりだと思った。
い:それで制作をお願いしに行ったんですね。
大:いちばん最初のアポの日、わたし忘れてて。
い:え?すっぽかしたんですか??
大:約束の時間になってもわたしが来ないから
  先方から電話がかかってきて…
  「すみません!すぐに行きます!!」って。
  行きのタクシーの中で「もうあかんやろな」って思ってた。
い:焦ったでしょうね~…ぞっとする…。
大:でも竹中さん(原田さんの師匠)に話したら
  「じゃあ考えてみましょか」って。
  大昔のウチの本に、竹笹堂さんも関係があったりで
  「ご縁がありますね」って言うてくれはって。
い:いつも思うんですけど、
  竹笹堂さんってチャレンジ精神がすごいですよね。
  大先生(竹中さんのお父様)も含めて、
  新しいことを受け入れる度量がね。見習いたいですね。
大:こっちの意図していることもすぐ理解してくれはったし
  何よりおもしろがってくれはった。

京都手帖2010の月間カレンダー

大:月間カレンダーのスペースが横長だったから
  連柄(ひとつの版木から縦にも横にも広げられる)に
  したほうがいいんじゃないですか?って
  提案してくれはった。
い:この月間カレンダーの枠も竹笹堂さんの案でしたよね?
大:そう、昔の版画作品には、
  こういう内側に欠けたように見える枠のものが多かったって。


そしてうまれた、「京都限定版」

い:京都限定版の表紙ができたのもこの年ですね
  これはどういう経緯でできたんですか?
大:単純に、選べなかってん。かわいくて。
い:え?そんな理由?(笑)
大:そう。こっちもいいし、こっちも捨てがたい。
  そのうえ、ふたつ並べたらめっちゃかわいい(笑)
  それなら両方つくってもいいんちゃう?ってなって。


  どうせなら片方を限定版にしてみようってことに。

並べてみると、たしかにかわいい

い:そんな感じで決まってたんですか(笑)
  でもやっぱ「限定」には弱いですよねー。
  わたしも買っちゃうもん(笑)


大:いま、版画はどういう打ち合わせをしてるの?
い:毎年3月頃から始動します。
  月間カレンダーのところに使うので
  最低12案は新規でデザインしてもらってますね。
  デザインは、綿密に計画をたてて…ではなく
  基本的に原田さんにおまかせです。
大:「こういう感じで」という要望は出さないの?
い:どうしてもなモチーフがあれば伝えるけど、
  原田さんのことだし、まかせていてもかわいいものが
  あがってくるって信じてるんです。それにわたしが
  あれこれ言わないほうがいいものができるとも思います。
大:彼女の感性を信頼してるんやね。
い:最初に、えんぴつで描いたラフを見せてもらうんです。
  方眼用紙に色鉛筆で色づけした、デザイン画。
  それでOKが出たら、彫る作業にまわしてもらう。
  実際摺りあがった版画をみると、デザイン画より格段によくて。
  普段、とっても仲良くしてもらってるんですけど
  やっぱ摺り師なんだなぁとほれぼれする瞬間ですね。


表紙選びは、毎年思う存分悩む

大:毎年表紙選ぶのも苦労するよね
い:ほんとに…。直前までめちゃくちゃ悩みますね。
大:色校もたくさん出してるよね。
い:毎年出してもらう12案の中から
  表紙に選ぶものを決めるんですが…
大:あがってきたときに
  「表紙向きの図案だな」と思うこともある?
い:ありますね。
  でも、実際レイアウトしてみたら「違うかも」って思ったり。
  もちろんその逆もあって。
  ダークホースがいきなり表紙に決定した、
  なんてこともありました。
大:色校もたくさん出してるもんね。

京都手帖2018の、表紙色校

い:印刷会社の人と相談して、迷っているデザインはすべて
  色校正を出します。
  「やっぱあっちのほうがよかったかも…」と後悔したくないので
  ほとんどやん、って言われるくらい出しますね(笑)
大:表紙もみんな好みがあるから、社内でも意見は割れるね。
い:正解がないですからね。
  最後はえいやって決めますね。
大:竹笹堂さんの版画はパキッとしたきれいな色が多いから
  印刷でこの色を出すのは…限界があるよね。
い:そうなんですよね。
  「できるだけ近づけてください」って、
  同じデザインでも数回やり直ししてもらいますね。




本日はここまで。
次回は、失敗談を少し…おはなししますね。ああこわ。


第1回 京都手帖がうまれたとき
第2回 竹笹堂さんと作っていく(←いまココ)
第3回 わたし失敗いたしました
第4回 進化しつづける京都手帖
第5回 京都手帖+と今後の展開

2017年12月20日水曜日

『京都手帖』編集室より① 京都手帖がうまれたとき

『京都手帖』は
京都のちいさな出版社・光村推古書院(みつむらすいこしょいん)から
毎年9月末頃に発売されています。

おかげさまでたくさんの方々に愛される手帳となりました。

もともとどうしてつくったの?
お菓子やお店のチョイスは誰が決めているの?
木版画のデザインは誰がしているの?
などなど
つくる側からみる『京都手帖』とはいったいどんなものなのか。

編集部ふたりで座談会をしてみました。
「ふたりって。少なっ」と思われたかもしれませんが
編集部、全員で4人です、そんなもんです。

【大】:大西(編集部最年長・せんぱい)
【い】:伊賀本(『京都手帖』担当・イガコ・北大路アオアザ)

このふたりで全5回、お送りいたします。

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い:はじまりました、ふたり座談会。
  まずは、『京都手帖』ができたきっかけから。
  2007年がはじめだったので、制作していたのは2006年ですね。
  そのころ、わたしは営業部でした。入社2年目。
大:初年度の『京都手帖』を担当したのはわたし。

右:大西(せんぱい)
左:伊賀本(イガコ)
それは会議室で起こりました

い:会議中に案が出たんですよね、たしか。
大:そう、社内と、社外の編集の人も同席していて。
  浅野社長が「京都の旬のものを載せる本をつくったらどうか」
  と言わはったんよね。
  でもそれだけじゃなぁ。何かいい方法ないかなぁって
  みんなで話してて。
い:それで、せんぱいが「行事もたくさんあるし手帳にしたら?」
  って言わはったんですよね?
大:そう。そしたら全員「いいやんそれ!」ってなってん。

大:編集は、最初は編プロ(編集プロダクション)に協力してもらって
  手分けしてコラムをつくった。
い:週間カレンダーページって上下にグラデーションが入ってますよね。
  ああいうデザインも、編プロと案を出し合って?
大:あのグラデーションは光村案だったな。
  各月色が違うことでインデックスの役割も兼ねてるんだけど、
  あれは舞妓さんの花名刺をイメージしてるんよね。はんなり感。
  とにかく「和風のスケジュール帳」にしたかったんだよね。
  
週間カレンダーは当初からグラデーション

大:本文紙もいろいろサンプル取り寄せて…。
い:社内にたくさん紙があったの覚えてます。
  同じ紙でも厚み違いのものとか。
大:薄かったら裏うつりするし、分厚かったら重くなるしね。
い:サンプルに書き込んでましたよね。
  えんぴつ、ボールペン、万年筆、何パターンも。
大:書きやすさも、目に優しい感じも、
  一年通して使うものだから妥協できないと思ったんだよね。


まさか足りなくなるなんて

い:部数の決定はどんな感じでした?
大:初版は1万部だったよね。で、割とすぐ5千再版した。
い:仕様の都合で、1万くらいつくらなきゃ原価的に厳しかった?
大:いや、そうじゃなくて。1万くらい売れるやろ!という感じ。
  多すぎるって意見ももちろんあったけど。
い:発売前に書店さんに「こんなの出ます」って案内しますよね。
  書店さんの反応ってどうだったんですかね?
大:浅野さんの話では、書店さんの反応もだいぶよかったみたい。
  「おもしろいですね」「売れるでしょ」って感じで
  注文もたくさん取れたんだよね。
い:で、発売してすぐ足りなくなって、再版したんですね。

い:年代のターゲットとしてはどのあたりを狙っていたんですか?
大:やっぱり女の人だったな。
  自分と同じくらいの年代(当時は30代後半)を意識してた。
い:いざ発売したら、
  予想よりも上の世代の方々も買ってくれてましたね。
大:男の人もけっこう買ってくれてはってね。
い:今もですけど、表紙も中身もどっちかというと女性向けですもんね。

京都手帖2007の表紙


大:でも、男の人や、シックなものが好きな人へ向けて
  最初から表紙はリバーシブルにしてた。
  ビニールカバーの内側に入る紙が表紙になるんやし
  どうせやったら両面印刷したらいいやんってのがきっかけ。

い:いまの『京都手帖』と比べると、
  2007年のものは薄いですね。ページが少ない。
大:後ろのメモページがあんまりなかったもんね。
い:掲載している行事もまだ少ないですね。
  ここから毎年少しずつ増えていったんですよね。
  「使いやすい京都手帖」のために
  毎年なにかしら改良していきましたね。


大:それで、次の年からはイガコが担当したよね。
  わたし、育児休暇に入ったから。
い:そう、いきなり素人が(笑)
大:これ、二年目からは楽になると思ってたんよ。
  違ったけど(笑)
  一年目も営業部だったイガコに手伝ってもらってたね。
い:行事のピックアップとか、いろんな資料あたってましたね。
  二年目からはフォーマットがあるからそれに沿って、ね。
  カレンダーが変わると基本的には行事の日程も変わるし
  それに伴っての社寺への掲載確認とかね。
  やることは多かったですけどね。
大:二年目で大きく変えたところは?
い:アドレスページの追加、地図の追加、
  あとビニールカバーも丈夫にしましたね。

京都手帖2008つくりました



本日はここまで。
次回は、竹笹堂さんとの出会いについてお送りします。
お楽しみに。


第1回 京都手帖がうまれたとき(←いまココ)
第2回 竹笹堂さんと作っていく
第3回 わたし失敗いたしました
第4回 進化しつづける京都手帖
第5回 京都手帖+と今後の展開

2017年12月11日月曜日

新刊できてました『佛教の文様』

みなさま、ごきげんよう
北大路アオアザでございます

わたしね、叶姉妹さまのインスタをフォローしているんですよ
そこでね、美香さんが言うてはったんです
「16センチのピンヒールを履くと立つのもやっとだけど
 それゆえ体幹を鍛え、美しくなれるものだ」的なことを

ほらわたし、素直だから
「やっぱりそうか。ヒールいいよね」
と思って、眠っている女子度高めの靴を履こうと思ったんです
そのことを娘に告げると

「おかあさん、ヒールやとたいへんなんじゃないの」
「大変やけど、それやし引き締まるって話」
「いやそれはわかるけど」
「なに」
「ふつうのひとが履くよりおかあさんが履いたら足にかかる重みが」
「……」
「足の裏にかかる重みが」
「……」

ひと盛りもしていない、娘からの助言
その後ためしに近所まで歩いてみたら
足の裏にかかる負担、ハンパなかった
夜中、足つった


さて、新刊のご案内
新刊いうても、先月できてました
自分が担当したものはおくれがち
すみません、池先生

そう、池先生
著者の方に「先生」と呼ぶのはよくあることなのですが
池先生、お医者さんでもあるのです
そのうえ僧侶でもあるのです
蹴鞠の人でもあるのです
何足はく気ですかわらじ

『佛教の文様』
ぶっきょうのもんよう、です
『仏教の文様』でもいいです、新字でもいいです


あれ、どこかで見たような
そうです、あの本の御兄弟です

『有職の文様』です
紹介したブログはこちらから→【新刊できてます『有職の文様』】

タイトルだけじゃピンときませんよね
ぶっきょうのもんよう
打敷(うちしき)と呼ばれる布をたくさん集めた写真集です

いや、打敷ってなんやねん
ですよね、わたしもそう思います

お寺の本堂や家庭の仏壇に、香炉や燭台をのせる卓(しょく)があります
法事や行事があるときに、卓にかける布(裂)が打敷です
かけることが目的なので、三角形だったりします
四角形もありますけど


こんな感じで

お寺の本堂へいくと、なんとなくきらびやかな印象ですよね
きんぴかなところ、けっこうありますよね
金色に輝いている要因のひとつは、打敷でもあるのです
豪華なんですよ、打敷って裂は

さあ、見ていきましょう

章立てとしては文様の種類別
こちら、菊御紋です

こちらは菊御紋と五七桐紋
蓮の葉が舞っていますね
わかりますか、このきんぴか感
光ってます
印刷でこんなに金が表現できるのもすごいんですよ

こちら、二條藤紋
図版の隣には文様名のほか、サイズもひとつずつ記しています
手のひらサイズのものから、超絶でかサイズのものまであります

龍文
龍にもいろいろ表情があって
この龍はちょっとやさしいお顔で好き

鳳凰と花
金色の地に紫のラインが美しい
こちらのように
全体図だけじゃなくて文様を拡大してみたいやん
ということもありましょう(小さい本ですからね)
全体図が下に、拡大図が上にあります
なんて親切

基本、裏には絵柄はないものが多かったのですが
こちらのようなパターンも
左ページが裏です

白に金色の桐唐草
シンプルですけどこういうのもいいですね

池先生って
この大量の打敷を所有しているんですよ
これ以外にもなんかいろいろ持ってはります
こちらのように裂がぼろくなったりもしますけど
大事に保管されています

そう、この320頁にも及ぶ本のなかの裂すべて
池先生の所有物
これをですね、撮影したわけです
所有のすべてを撮影したわけじゃないんですが
池先生セレクトのものを数百点、撮影しました

先に申し上げた通り、
手のひらサイズからでっかいものまでありました
ちっさいのはいいんです、普通のスタジオで撮影できますから
問題はでっかいの
どうしたかといいますと


でっかいスタジオ借りました
屏風内の光があたっているところが撮影するところ
それを真上から撮影するためカメラマンは常に中腰
スタジオ内に置いた打敷を、都度カメラ下まで動かす作業
でっかいからふたり一組
けっこう重労働で翌日全員筋肉痛


撮影後に片づけて写真を撮ってもらう
アップで撮ってもらってもこんな感じ

これ、昨年末の話です
1年かかってやっと本になりました

とにかくマニアうけする内容になっています
類書なんてあるわけないじゃん
だからみなさん買ってくだされ

amazonはこちら→『佛教の文様』



2017年12月8日金曜日

『CUBA★CUBA』できました

みなさま、ごきげんよう
北大路アオアザでございます

すっかり師走
本日も凍える寒さですね
奥さんご存知でした?
冬はダイエットに最適な季節ということを

わたくしは知っています
冬は寒いから身体が勝手に燃えることを
わたくしは知っています
それによって何もしなくてもカロリーを消費するということを
わたくしは知っています
そのカロリーを補って余りあるほど食してしまうことを


そんな冬から現実逃避ができる新刊、できました
キューバの写真集です
キューバいうたらアレですよ
あの南国の、あの国ですよ、カリブ海の


帯の「ハービー・山口」さんの名前が目立ちますが
こちら、オサレ写真家・藤田一咲先生の写真集です
サイズはおなじみ、ましかくちゃん
ましかくちゃんいうたら148mm正方形の写真集のことですよ
ヨーロッパ三姉妹が売れっ子です

キューバいうたら何を思い浮かべますか
まずはこれですよね


青い海と青い空
定番、これは定番っしょ
青いわ―、すんごい青いわー


あとアメ車
カラフルなアメ車
あっついなか、オープンカーの助手席のりたい
パリピ


そしてチェ・ゲバラ
ベストオブキューバ有名人
ゲバちゃんカッコイイ
(関西風には「バ」にアクセント)

わたくし的にはこの3つがハイライト

もちろんそれだけじゃなく
キューバという国は異国情緒たっぷりな
魅力的なところなんだな、と
写真集をみるとそう思うわけですよ
いつか行ってみたいなぁって
誰か連れてってくんないかなぁって


オシャンな街ではあるのでしょうが
やっぱ写真がきれい
同じ景色を見ていたとしても
絶対こんなふうに撮れない



野菜も南国な色味ですなぁ



目に留まるのはたべものばかり
申し遅れました、人生常成長期です



落書きの壁もすんごいけど
特筆すべきはまゆげかと



いわずもがな、髪型かと



はにかんだ笑顔がかいらしいお子たち



もりだくさん



お気づきでしょうか
モノクロの写真も多いんです
カラフルな街をあえてのモノクロ
ビバ・オサレ一咲先生



かと思いきや美しいブルー
暑いんだろうなぁいいなぁ



キューバならわたしもビキニを着れそうな気がする
現実は右上でも理想は左下



あたらしいタイプのリュックが流行っているのかな


書店やamazonなどで好評発売中!
◎amazonはこちら→『CUBA★CUBA』

そしてなんと
イベントもあーるー

その1
京都であります

岡崎にある京都写真美術館さんで展覧会が行われています
『CUBA★CUBA』よりセレクトした作品を約40点展示・販売
買っちゃう?この際、作品も買っちゃう?

日時:12月5日(火)~12月17日(日)
場所:ギャラリージャパネスク 京都写真美術館 1階「月」
   (京都市東山区堀池町374-2)

そしてトークイベントもありますぜ
日時:12月9日(土) 17:00~18:00
会場:京都写真美術館1F「月」(京都市東山区堀池町374-2)
参加条件:写真集「CUBA★CUBA」のご購入 (光村推古書院 1,922円 /税込)
定員:30名
申込方法:店頭、電話、申込フォームのいずれか

お問い合わせは、京都写真美術館さんへ


そしてその2
お江戸であります

オサレタウン代官山の北村写真機店さんにて
トーク&スライドショーが開催されます

日時:12月17日(日)20時~21時半
場所:代官山 北村写真機店(代官山T-SITE内)

詳しくは代官山 北村写真機店さんまで